数理生物学を研究する上で欠かせないツールとして“方程式”があります。本企画「私と方程式」では前回の今隆助先生によるロトカ・ヴォルテラ方程式に引き続き、第2回は九州大学大学院医学研究院系統解剖学分野の三浦岳教授に、Turingパターンをテーマとして特に2変数のTuring系を支配する方程式を軸に小話を交えつつ解説して頂きました。
本記事では、はじめにTuring系のおおよその挙動を理解するための数値計算法として陽解法および陰解法を具体的に確認し、次にTuring系が形成するパターンについての定量的な理解に向けた数理解析手法として線形安定性解析、弱非線形解析、および特異摂動法を確認し、最後にTuring系の具体的な生物系への応用について多くの文献を引用して紹介されています。また、三浦先生ご自身や周辺の先生方に関するストーリーも大変興味深く読ませていただきました。 Turing系だけでなく広く数理生物学における研究に通じる非常に参考になる内容になっており、大変充実した内容ながらとてもコンパクトに読みやすくまとめて頂きました。ぜひご一読頂くとともにバイブルとして保管しておくことを強くお勧めいたします。 編集担当:北川 耕咲、岩見 真吾 日本数理生物学会ニュースレター編集部メンバー
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数理生物学を研究する上で欠かせないツールとして“方程式”があります。本企画「私と方程式」は数理生物学会ニュースレターおなじみの「数理の小ネタ」の系譜を引いており、数理生物学の歴史を築くことになった重要な方程式を取り上げ、専門家の先生の独自の視点で解説して頂きます。 第一回目は、宮崎大学工学教育研究部の今隆助准教授に、進化・生態学分野で広く用いられ、また、最も有名な方程式ともいえる“ロトカ・ヴォルテラ方程式”について長年の研究成果を交えて解説して頂きました。 本記事ではロトカ・ヴォルテラ方程式の特性や関連する方程式、安定性や競争系における共存の条件を与えるパーマネンス理論などが紹介されており、ロトカ・ヴォルテラ方程式への理解の助けになります。また、この方程式を軸にした今先生ご自身の変遷も興味深く読ませて頂きました。文献も多く紹介して頂きました。とても面白く、また広く参考になる内容かと思います。ぜひご一読ください。 |